平成22年度仙台弁護士会会長に就任しました新里宏二です。就任にあたりまして所信の一端を4つに分けて述べさせていただきます。

第1 刑事弁護、裁判員裁判問題への対処
1 被疑者国選弁護対象事件の拡大
平成21年5月21日からの被疑者国選弁護対象事件の拡大と裁判員裁判の実施により,刑事弁護の実践が大きな課題になりました。
被疑者国選弁護対象事件の拡大に伴う刑事被疑者弁護事件の増大については,会員の協力により、これに対応する体制をつくることができました。平成22年度も登録弁護士をさらに増やし、みんなで支える体制を作っていきます。
2 裁判員裁判
平成21年11月4日から仙台地方裁判所において実際の裁判員裁判が始まりました。
裁判員裁判については、今年度は検証にも力を入れる必要があります。裁判員への負担軽減を優先して被告人の防御権が不当に制限されていないか、無罪推定の原則が厳格に守られているのか、評議の検証が出来るのか等について、調査・検討します。
3 取り調べ全過程の可視化問題
取り調べ全過程の可視化については、冤罪事件がクローズアップされている時期でもあり、当会としても最優先課題として取り組みます。

第2 法曹人口、法曹養成問題
1 司法修習生の給費制の維持に向けた活動
平成22年11月に、司法修習生の修習費について貸与制が実施されます。当会では、昨年9月に貸与制導入に反対する会長声明を出しました。法科大学院の間も学費や生活費で奨学金という借金を抱え、さらに修習費についても借金ということになれば、富裕層か多額の借金を背負った人しか法曹になることができず、法曹としての質の大幅な変容をもたらしかねない大問題です。
時間は限られていますが、日弁連、市民団体とも共同で取り組みます。
2 法曹人口問題
当会は全国に先駆けて平成20年2月の定期総会において「司法試験合格者数を年間3000人程度とするとの政策の変更を求める決議」を採択しています。
62期司法修習生の2回試験合格者のうち、事務所に勤務することなく事務所を構える者が45名、登録未了の者が94名など、就職先が決まらない者が大量に発生し、深刻な状況にあります。市民の皆様とも議論しながら、法曹人口問題についても意見表明をしていこうと考えています。

第3 市民の権利救済・相談体制の充実
1 労働者の権利救済
当会では、昨年4月から「生活保護および解雇、雇い止め法律相談窓口」を開設するとともに、非正規労働者などの労働局への申告手続について援助事業を行っています。この事業は全国的に見て画期的なものです。是非多数の方に御利用いただきたいと思います。
2 中小企業支援
日弁連において中小企業法律支援センターを設置し、当会でも相談窓口を開設し、本年4月から相談業務を開始します。多くの中小企業の方に利用されるよう努めていきます。
3 多重債務問題・消費者相談
弁護士広告が氾濫し、「過払いあさり」との批判がなされており、社会の信頼を回復するためにも、日弁連として一定の規制策を検討すべきです。
宮城では自治体の相談窓口との連携が図られています。
平成22年6月、改正貸金業法が完全施行されることを踏まえ、急増する相談に対応するため、相談体制の一層の強化を図っていきます。
4 その他
高齢者・障害者相談、交通事故相談の活性化等当会での相談体制の強化と広報に努め、市民の皆様に使い勝手の良い法的サービスを提供することに務めます。また、犯罪被害者の支援、全国的にも実績の高いADRについてもさらにその利用促進に努めるなど取り組むべき課題は少なくありません。

第4 司法基盤の整備・過疎偏在対策
当会は過疎・偏在対策として、やまびこ基金法律事務所の開設に協力し、過疎・偏在地区への弁護士の定着支援を行い、登米、栗原、角田のひまわり基金法律事務所を誘致し、地方の法的需要に応えてきました。
しかし、支部に弁護士が行っただけでは過疎・偏在対策としては不十分です。裁判所、検察庁の支部機能の強化策について、地元の意見を踏まえて提言していこうと考えています。
その他、当会では、自殺対策についても医師会との連携など特色ある活動を行っています。
私は、できるだけ弁護士会の情報を市民の皆様に提供し、弁護士会の活動を理解してもらうことに努めたいと考えていますので、1年間よろしくお願いします。

以 上