●これまで、被災者の皆さまから多く寄せられた相談例を掲載しますので、ご参照ください。

◎被災者の皆さんから多く寄せられる相談例 / 仙台弁護士会 H23.8.1


○生活・支援・行政

 

Q1 津波で土地の権利証、預金通帳、生命保険証券、実印、健康保険証などが流されてしまったのだが、権利はなくなるの?預金の払戻や生命保険は受け取れるの?健康保険は適用されるの?


A 大丈夫です。

① 権利証をなくしても権利はなくなりません。土地の売却も可能です。登記には、権利証のほか、実印や印鑑証明書も必要なので、権利証の紛失だけでは、誰かに勝手に登記される可能性は高いとは言えません。ただし、同時に実印や印鑑証明書も紛失された場合には、念のため、勝手に登記されることを防ぐ「不正登記防止の申出制度」を利用したり、印鑑登録している市区町村に紛失届けをし,新しい印鑑につき改印届をすることをお勧めいたします。詳しくは法務局や市町村へお問い合わせ下さい。
② 預金通帳や生命保険証書がなくなっても権利はなくなりません。ただし、悪用されないように銀行や保険会社に連絡をしておきましょう。払戻や保険金の支払いについては、被災された方に対し、預金通帳や保険証券がなくても、金融機関や保険会社では、預金の払戻や保険金の支払いについて柔軟に対応しています。金融機関や保険会社に問い合わせをしてみてください。実印をなくした場合には,印鑑登録している市区町村に紛失届けをし,新しい印鑑につき改印届けを提出して下さい。
③ 健康保険証をなくしても、ご加入の医療保険の保険者に保険証の再発行を申請し、その保険証で健康保険の適用を受けることができます。地震の後に他の市町村に移った方も保険診療を受診できます。また、住居が全半壊した場合や、世帯主が亡くなられたり失業された場合等の被災者の方には自己負担分もかかりません(ただし、この取扱を受けるためには原則として免除証明書が必要となります。)。
※介護保険証をなくしても、市町村の窓口に「名前」「生年月日」「住所」を言えば介護サービスを利用できます。また、要介護認定を受けていない人や認定の有効期限を過ぎている人でも、介護サービスを利用できます。

 

Q2 お金がなくなった、どこか融資や給付をしてくれるところはないの?

A
① 市町村の社会福祉協議会において、低所得者や高齢者・障害者については、生活福祉資金による融資を受けることができます(なお、緊急小口資金の申込受付は終了しています。)
② 震災で、ご家族が亡くなられた場合、ご遺族には、「災害弔慰金の給付」もあります。生計維持者が亡くなられた場合は500万、その他の方が亡くなられた場合250万円が「世帯ごと」に支給されます。弔慰金は、遺族が複数いる場合には、亡くなった方が生計を主として維持していた遺族に優先的に支払われます。そのような遺族が複数いる場合には、(1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫(5)祖父母の順位で支払われるのが原則です。また、亡くなった方が生計を主として維持していた遺族がいない場合は、それ以外の遺族にもやはり、(1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫(5)祖父母の順番で支払われます。上記の遺族がいない場合には、亡くなった方と同居していたり生計を同じくしていた兄妹姉妹がいれば、その兄弟姉妹にも支払われます(H23.7.29に改正されました)。
なお、先順位の人がいる場合でも、先順位の人が遠隔地に居住している等の事情で、先順位の人より後順位の人に支給するのが望ましいと思われる場合には、市町村長の判断で、後順位の人に支給される可能性もあります。
各自治体で災害弔慰金給付に関する条例が定められていますので、詳しくは、各市町村にお問い合わせ下さい。
なお、亡くなった方が、業務に従事していたために支払われる給付金がある場合には支給されません。
③ 日本財団において、今回の震災で死亡、あるいは行方不明となられた被災者に関し、遺族または親族の方々に死者、行方不明者1人当たり各5万円の弔慰金、または見舞金を遺族の代表者に給付することを決め、既に各地で給付が開始されています。詳しくは日本財団(0120-65-6519)へお問い合わせ下さい。
④ 震災で、世帯主の方が負傷した場合や、住居・家財に被害を受けた場合、「災害援護資金貸付」で、最大で350万円の融資を受けることができます(ただし、所得制限があります)。今回の震災では、特例法により、貸付利率は連帯保証人を立てる場合は無利子、連帯保証人を立てない場合は年1.5%で、返済しなくてもよい据置期間の6年(世帯主が亡くなったり、住宅全壊等の場合には8年)は無利子です。詳しくは市町村にお問い合わせ下さい。
⑤ 震災で、両目の失明、言語機能を失った、精神に著しい障害を残し、常に介護を必要とするといった重度の障害を受けた場合には、「災害障害見舞金」で最大で250万円の支給を受けることができます。詳しくは、市町村にお問い合わせ下さい。
⑥ 各金融機関においても、被災者向けの融資制度を設けているところがあるかも知れませんので、金融機関に問い合わせをしてみて下さい。
⑦ 収入がなく生活が苦しい場合には、生活保護の申請もご検討下さい。

 

Q3 震災で自宅が壊れてしまったが、何か受け取れる給付金はあるの?

A

① 「生活再建支援制度」で、住宅の被害の程度や住宅の再建方法に応じて最大300万円の支給があります(住宅が全壊や解体で建設・購入した場合-損害の程度に応じてもらえる基礎支援金が、全壊で100万円、住宅の再建方法に応じてもらえる加算支援金が、建設・購入で200万円)。
借家の場合にも制度の適用があり受給できます。借家人の場合、原則として加算支援金を受け取ることはできませんが、大家が修繕を行わず、賃借人が自己費用で修繕を実施した場合には、例外的に加算支援金がもらえることもあります。ただし、事業所や工場の場合や別荘、投資物件には適用がありません。加算支援金について、被災された場所とは別の県や市町村で、住宅を建設したり、賃借した場合にも適用があります。 制度の概要については、こちらのホームページをご覧ください。

http://www.bousai.go.jp/hou/pdf/080818gaiyou.pdf

詳細については、市町村にお問い合わせ下さい。
※単身世帯の場合は、支援金の額は4分の3となります(最大225万円)。
※申請には罹災(りさい)証明書、住民票等が必要です。申請期間は、基礎支援金が、平成24年4月10日まで、加算支援金が平成26年4月10日までです。とりあえず基礎支援金を申請しておいて、その後、住宅の再建方法が決まった後で加算支援金の申請をすることもできます。
② 震災で、住宅が壊れてしまい、応急修理によって居住が可能になる場合に、応急修理を行う場合には、「住宅の応急修理制度」について、一世帯あたり最大52万円の援助を市町村から受けることができます(市町村から業者に直接修理費が支払われます)。詳しくは、市町村にお問い合わせ下さい。

 

Q4 罹災証明って何?応急危険度判定と同じものなの?

A

罹災証明とは、震災で発生した「住宅」の被害の程度を証明するため、市町村が発行するものです。生活再建支援制度の支援金の申請、義援金の分配、損保会社等への保険金請求、住宅支援機構等からの低金利融資、仮設住宅や公営住宅への入居についての優先順位、住宅の応急修理制度の利用、税金や学費の減免などで、必要となる書類です。被害の程度は、市町村が、屋根や柱、外壁などの被害状況をチェックし、被害があれば「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」と認定されます。(なお、今回の津波被害では、判定手続を簡素化し、家屋が流失したり1階天井まで浸水したりした地域はすべて「全壊」、床上1メートル以上の浸水とがれきの建物内流入を「大規模半壊」、床上浸水を「半壊」、床下浸水を「一部損壊」とみなす方針です。)。市町村からチェックを受ける前に、修理をする場合には、住宅の被害の程度がわかる写真を撮っておいたほうがいいでしょう。

罹災証明と応急危険度判定とは、別のものです。応急危険度判定は、二次災害を防止するために、市町村が、建物の傾き、構造物の落下、地盤沈下などを総合的にみて、「危険(赤)」「要注意(黄)」「調査済み(緑)」の貼り紙を建物にして、「危険」の建物内には入らないように求めるものです。ですから、「危険」の赤紙が貼られているからといって、罹災証明が受けられるとは限りません。
住宅以外の建物である工場、店舗、家財等について被害があった場合には、市町村から、「被災証明書」や「罹災届出証明書」が発行されるようです。
罹災証明、被災証明の詳細については、市町村にお問い合わせ下さい。

 

Q5 罹災証明の被害認定が「半壊」とされたが納得がいかない。どうすればいいの?

A

罹災証明書の発行は、まず1次調査(屋根、基礎の割れ・傾斜等の外観目視調査)に基づいて行われ、被災者からの申請があれば、2次調査(内部立入調査)をすることとなっています。罹災証明書と地震保険とでは査定基準が異なることを理解した上で、それでも被害認定の内容に不服がある場合には、再調査の申し立てができます。ただし、その場合、被災者からの訴えの内容が精査されることなどから、再調査まで時間がかかる場合があります。また、原則として申請者の立会いが必要とされています。
再調査の際に被害状況を説明する観点から、損壊部分を撮影した写真を残しておきましょう。また建築士に、損壊部分を見てもらって、専門家の目から見ても、損壊の程度が半壊にとどまらないということであれば、その旨の意見書を書いてもらっておくといいでしょう。詳細については、市町村にお問い合わせください。

 

Q6 車が流されてしまったが、自分で撤去しなければならないの?

A

自分で撤去しなくても大丈夫です。宮城県では、第一次的には市町村が、市町村の対応がない場合には、県が被災車両を、撤去する方針となりました。また他人の車両を勝手に処分すると持主から所有権侵害を主張される可能性もあるので、処分せずに市町村や県に連絡して対応してもらうのがよいでしょう(仙台市については、専用ダイヤル022-722-9688へお問い合わせ下さい)。

 

○賃貸借

Q7 借りている住居が使えなくなったが、賃料はどうなるの?敷金は返してもらえるの?

A

賃借物の使用が客観的に不可能な場合(避難勧告で住めない場合も含む)は、賃料は支払う必要はありません。原状回復をすることもないので、未払賃料がなければ、敷金も全額返してもらえます。これは、賃貸借契約書に「不可抗力により居住不能となった場合には敷金は返還しない」というような特約条項があっても同様です。

 

Q8 では、住居の一部が壊れている場合には、修理を大家に要求することができるの?修理してくれない場合、賃料を負けてもらうことはできるの?

A

一部損壊で、必要な修繕であり、修繕可能であれば、修理を賃貸人(大家)に要求することができます。修繕してくれないのであれば、使用収益できない割合に応じて賃料の一部支払を拒むことができます。ただし、使用収益できない割合の判断は難しいので、賃貸人と協議することなく一方的に自分の判断で金額を決め、減額した家賃を支払った場合、賃貸人との間で契約解除等の紛争が生じることも考えられるので、注意が必要です。まずは、賃貸人に修繕や賃料減額の申し入れをしてみましょう。もし賃貸人と話し合いがまとまらない場合には、弁護士に相談しましょう。
※借家が津波で全部流された場合、賃貸借契約は当然に終了しますが、借地の場合(借りている土地に建物を建てている場合)には、津波で建物が全部流されても借地権は消滅しません。

 

Q9 一部損壊なのに、大家から、建て壊すから、立ち退いて欲しいと言われている。立ち退かなくてはいけないの?

A

修繕が可能で、かつ過大な修繕費用がかからない場合には、原則として立ち退く必要はありません。しかし、立ち退き要求に正当な理由があるときは、契約期間の定めがある場合には期間満了時に、定めがない場合には解約通知到達の6か月後に立ち退かなければなりません。正当な理由の有無は、賃貸借の期間の定めの内容、建物が壊れている程度、修繕にかかる費用と修繕によって延びる耐用年数、立ち退きによって受ける借主の不利益、立退料支払いの有無やその金額など、いろいろな事情を総合して判断されることとなります。したがって、賃貸人(大家)と立退料や再築後の建物への入居の可否のことも含めて、話し合いをされることをお勧めします。話し合いがまとまらない場合には、中立的な第三者を交えて話し合いをする簡易裁判所の民事調停や仙台弁護士会の震災ADR(裁判外紛争解決手続き)の活用もご検討下さい。
仙台弁護士会の震災ADRへの申込みにあたっては,一度法律相談をしていただく必要があります。東日本大震災仙台電話相談ないしは震災関係無料面談相談をご利用になり、震災ADRの利用を希望すると申し伝えください(電話、面談による相談の連絡先、受付時間は本Q&Aの末尾をご参照ください)。

 

Q10 借りている住居が震災で一部壊れた。大家から、修理のために1か月くらい退去して欲しいと言われたが、一時退去しなければならないの?

A

修理のために退去が必要であれば、修理期間中は、一時退去しなければなりません。
賃貸人(大家)は、賃貸物の保存に必要な行為としての修理をしなければならないとともに、修理することができ、賃借人は、それを拒むことができないのです。もし、修理をしなければ危険な状態にもかかわらず賃借人が一時退去を拒否した場合には、賃貸人から賃貸借契約を解除されるおそれがあります。また、賃借人としては、賃貸人に対して、一時退去に伴う引っ越し費用や仮住まいの賃料を請求したいところかも知れませんが、それもできません。なお、一時退去期間中の賃料については、賃借人は支払う必要はありません。

 

○分譲マンション

Q11 住んでいる分譲マンションの水道管が震災で壊れてしまった。どのように修繕すればいいの?誰が修繕費用を負担するの?

A

マンションには、居室内等の専有部分と共有部分に分けられますが、専有部分の修繕は各戸の所有者(区分所有者)において、その費用と負担で修繕を行わなければなりません。ですから、水道管の専有部分(本管の分岐点から-普通は専用メーターから各戸内への部分)が壊れた場合には、自分の費用で修繕しなければいけません。共有部分の水道管が壊れた場合には、規約をもとに、各区分所有者が集まった集会での話合いによって修繕方法や予算、費用分担が決められることになります。費用分担は、規約に別段の定めがない限り、共有部分の割合(=専有部分の床面積の割合で決める)に従って、全ての区分所有者が負担することになります。

 

Q12 震災で、住んでいるマンションの損傷が激しく、もはや住めるような状態ではない。建て替えたいがどのような手続が必要なの?

A

マンション各戸の所有者(区分所有者)が集まった集会での決議によって決められます。建て替えの場合には、最低でも、区分所有者の頭数の5分の4及び議決権(専有部分の床面積の割合)の5分の4以上の賛成を得る必要があります。建て替え賛成派と反対派が対立して5分の4以上の賛成を得られない場合には、建て替え賛成派は反対派に対して、区分所有権の時価による売り渡し請求権を行使することができます。また、決議は成立したが建て替えには参加しない区分所有者がいる場合にも、建て替え参加者は不参加者に対して、同様の売渡し請求権を行使することができます。

 

○仕事

Q13 ① 震災後、勤務先から自宅待機を命じられた。ただし、招集したらいつでも出勤できるようにと言われた。その間の給料は支払われるの?

② 震災により事業ができないから、一時的に休業する、とだけ言われた。この場合の給料は支払われるの?

A

① この場合は、招集に応じなければいけないという拘束があるため、「休業」にはあたらず、通常に給料が支払われます。日給月給制でも完全月給制でも給料は全額支払われます。計画停電のため通勤困難な遠隔地の社員に自宅待機を命じているケースが報道されていますが給料は全額払うケースが多いようです。
② ①のような拘束がないので「休業」にあたりますが、会社側の休業を命じる理由いかんによって給料が支払われるかどうかが異なります。
まず、震災で事業所自体が損壊し、営業継続が物理的に不可能となったなど、やむをえない理由がある場合は、使用者に責任がある休業とはいえないので給料も休業手当も受けられません。
この場合、特例措置として、一時的な休業であっても失業とみなして雇用保険の失業給付をするという制度があります(特例給付)。ただし、この特例による給付を受けると、それまでの雇用保険加入期間がゼロになり、また一からのやり直しとなるため、勤続年数が長い方にとっては、不利益が生じる場合もあります。詳しくは宮城労働局職業安定課(022-299-8061)またはハローワークにお問い合わせ下さい。
これに対して、建物や施設には被害はないが配送困難や注文の減少のため休業を命ずる場合は、やむをえない理由があるとまではいえず、原則として休業手当(平均賃金の6割以上)の支払義務があると考えられます。
労働者を休業させる事業主に対しては、一定の要件を満たせば、休業手当の一部を補填する雇用調整助成金等の助成金が支給されます。これも宮城労働局職業安定課(022-299-8061)にお問い合わせ下さい。
なお、計画停電による休業の場合は、直接の停電時間分は使用者に責任のない休業として休業手当の支払義務がありませんが、非効率なので停電予定日の全日休業を命じる場合は、直接の停電時間以外の時間は休業手当の支払義務があります。

 

Q14 自宅待機や一時休業中、アルバイトはできるの?

A

会社からの招集にいつでも応じなければいけないという拘束のある、いわゆる「自宅待機」の場合、勤務時間と同様に扱われ、会社より給料を支払われるべき場合にあたるので、原則としてアルバイトは認められないでしょう。

これに対して、会社自体が事業を行うことができず休業している場合、その期間中は会社の拘束を受けませんが、実際には就業規則で兼職禁止を定めている場合が多いので、アルバイトは就業規則違反になる可能性があります。特にライバル会社で働く場合は問題があります。事前に雇主に確認した方がいいでしょう。雇主は弊害がない場合は認めるべきで、認めない場合は権利濫用とされます。

 

Q15 勤務先から、震災を理由に解雇された。やむを得ないことなの?また、退職金はもらえるの?

A

震災だからといって簡単に解雇が認められるということにはなりません。解雇が有効と認められるかどうかは、整理解雇の4要件(①人員削減の必要性、②解雇回避努力の履行、③人選合理性、④手続の相当性)を充たすか否かによります。

今回の震災で事業所自体が津波で流された等、事業の継続自体が著しく困難であれば、整理解雇の4要件を満たし、解雇はやむを得ないと判断される可能性が高いでしょう。これに対して、震災によって、単に資金繰りが苦しくなるという理由では、解雇は認めらません。詳しくは、弁護士にご相談下さい。
退職金も、退職金支給規程があれば、会社は退職金を支給しなければなりません。
※解雇された場合、お近くのハローワーク(公共職業安定所)に雇用保険の失業給付申請をして下さい。また、震災で勤務していた会社が倒産した場合で、給料や退職金が支払われていない場合は、国が会社に変わって未払賃金総額の8割(最大296万円)を立て替える制度もあります。

 

Q16 今回の震災で、仕事中に、地震や津波により作業所が倒壊したことで、被害(死亡やけが)にあった場合に、労災保険は適用されるの?

A

適用されます。
労災保険の適用には、災害と業務との関連性(業務起因性)が要件とされていますが、厚労省は、「勤務中に地震や津波に遭い、けがをされた(死亡された)場合には、通常、業務災害として労災保険給付を受けられる。」と表明しています。ただし、仕事外の私的な行為をしていた場合は除きます。勤務中には、勤務中に地震や津波が発生し、避難行為や救助行為を行っている最中に被害にあった場合も含みます。また、通勤中に被災した場合も、勤務中の被災と同様、労災保険が適用されます。
労災認定されれば、亡くなられた場合には、遺族に遺族年金や一時金、葬祭料が、けがをした場合には、治療費や休業補償が支払われるなどの補償がありますので、仕事中に被害に遭われた場合には、積極的に労働基準監督署に労災の請求をしてください。詳しくは、宮城労働局労働基準部監督課(022-299-8838)にお問い合わせ下さい。
また、仕事中に被災し、 今も行方不明の方については、死亡の届出に添付する証明書の発行を警察に申請できるようになりました。一定の要件を充たせば、証明書が発行され、死亡届出をすることができます。その後は、上記のとおり労災認定を受けて補償を受けることができます。

 

○損害賠償

※原則は、以下のとおりですが、まずは話し合いをしてみましょう。

Q17 私の自宅敷地内にあるブロック塀が地震で隣家の敷地に倒れてしまい、隣人から撤去を求められています。私が撤去しなければならないのでしょうか。撤去費用も私が負担しなければならないのでしょうか。

A

隣人から撤去を求められたならば、撤去しなければならないでしょう。なぜなら、ブロック塀の所有者が撤去する必要があると解されているからです。また、その費用も、原則として所有者が負担することになります。これは、相手方に自己の所有物が原因で妨害状態を生じさせている以上、その状態を改善するための費用を所有者として当然に負担しなければならないと解釈されているためです。
もっとも、そもそもブロック塀の設置工事を施工した業者が手抜き工事をしていたといった事情があれば、自分が支払った費用をその施工業者に請求することができます。

 

Q18 家のブロック塀が倒れて隣家を壊してしまったが、賠償しなければならないの?

A

今回の震災は、「不可抗力」ということで、賠償責任が生じないとされる可能性が高いのですが、ブロック塀に構造上の欠陥があったり(設置の瑕疵)、きちんと管理していなかった場合(保存の瑕疵)、責任を生じる可能性があります。例えば、周囲の他のブロック塀が壊れていないような場合は、こうした瑕疵が疑われます。

なお、実態は「不可抗力」による倒壊であったとしても、安易に「不可抗力」であるとして、隣家の被害を無視するような態度をとると、隣家との関係が険悪なものとなってしまう可能性もありますので、状況によっては、一定の費用負担をすることも検討されてみてください。
※同様の問題です。
・自宅の屋根瓦が今回の震災で落ちて、隣の人の住宅や自動車を壊してしまった。
・自宅マンションの水道管、温水器が今回の震災で壊れて、階下の人の家財道具を水浸しにしてしまった。
・自宅敷地の擁壁が今回の震災で崩れて、擁壁の下の住宅を壊してしまった。

 

Q19 自宅建物が地震で傾いてしまった。次に大きな地震がくると倒れて隣家を壊してしまいそうだが、どうすればいいの?もし、隣家を壊してしまったら、賠償しなければならないの?

A

まずは、市町村に災害の拡大を防止するよう要請してみてください。市町村が人手不足等で対応できない場合には、宮城県建築士事務所協会(022-223-7330)あるいは日本建築家協会東北支部(022-225-1120)に問い合わせの上、建築士に自宅建物の状況を見てもらってください。その上、危険防止のために何らかの措置が必要であれば、措置をとってください。また、隣家には、家屋の状況を説明しておいてください。そのまま放置したために、自宅建物が倒壊して、隣家を壊してしまったり、住人をけがさせてしまった場合には、賠償責任が生じる可能性があります。

 

Q20 震災で建物が倒壊した。建物の耐震性や土地の造成に問題があった場合、損害賠償請求ができるの?

A

土地や建物に瑕疵(欠陥)があったのならば、売主や建築業者に、契約上の瑕疵担保責任や不法行為責任を問題として、損害賠償請求できる可能性があります。
もっとも、瑕疵担保責任にせよ不法行為責任にせよ、欠陥が原因で損害が生じたこと(損害との因果関係)が必要になり、それを証明することは必ずしも容易ではありません。耐震対策の予想を超えるような大規模な地震があった場合、欠陥が原因で損害が生じたことの立証は難しく、損害はいわゆる「不可抗力」によるものとして、売主や建築業者への損害賠償請求は認められない場合が多いと思われます。
欠陥と損害との因果関係が認められるかは、一般論としていえば、過去の裁判例をみますと、震度7以上の地域では認められず、震度5以下の地域では、建物の構造や建築時期にもよりますが、認められる可能性が高いでしょう。震度6の地域はボーダーラインです。もっとも、損害賠償請求ができるかどうかは、個別具体的な事例ごとに判断され、また全ての損害分担を建築業者あるいは施主に負わせるといったオールオアナッシングの解決ではなく、双方でお互いに一部を損害分担する等、話し合いを通じた柔軟な対応が望ましいと思われます。
当事者間で話し合いがつかない場合には、建設工事紛争審査会や仙台弁護士会紛争解決支援センター(022-223-1005)を利用されることをお勧めいたします。

 

Q21 自宅は無事だが、隣家の建物が、地震で傾いている。次の余震で倒れてきて、自宅が壊されないか心配だ。どうすればいいの?自分で隣家の建物を撤去してもいいの?

A

まずは、隣家の人に、補修工事や撤去を求めてください。隣家の人が対応してくれない場合や隣家の人の所在がわからない場合には、市町村に危険な建物の除去等の災害拡大の措置をとるように要請してみてください。隣家の人も市町村も対応してくれない場合には、危険な建物を撤去したり、予防措置をとることを認める裁判所の仮処分決定を経て、自力で建物の除去や修理をすることになるでしょう(専門的なことなので弁護士に相談してください)。しかし、そのような時間もない、今にも倒れそうだという緊急性のある場合には、自分や家族の生命・身体や財産を守るために、必要最小限の範囲であれば、自分で撤去・修理することもやむを得ないでしょう(その場合、民法上「緊急避難」として隣家の人に対して建物を撤去したことの損害賠償責任を負わなくてすみます)。なお建物撤去の緊急性や必要性があることを証拠として残しておくために、建物の状況を写真に撮影しておいてください。
また、修理や解体撤去にかかった業者への工事代金領収書を保管しておきましょう。二次災害防止のために必要な工事であれば、それは本来、隣家の人が対応すべきことだったといえますので、後日、隣家の人にかかった費用の請求ができます。また、市町村に対応を依頼して、応急措置が必要であったのに市町村で対応できなかった場合には、市町村から補償が受けられる可能性もあります

 

Q22 修理のために預けていた車が津波で流されたが、賠償してもらえるの?

A

津波という「不可抗力」による被害ですので、保管責任を問題にして、賠償を求めることは難しいでしょう。店舗の駐車場や時間貸、月極駐車場に駐車中に流された場合も同様です。
なお,流されてしまった車についてですが,放っておくのはよくありません。車が流されてしまっても,その登録が自動的に抹消されるわけではありませんから,陸運局に廃車の手続きをしないと自動車税がかかってきます。廃車手続きをすれば,支払済みの自動車税が一部還付される場合もあります。今回の大震災で流された車については,簡易な廃車手続きができますので,陸運局に相談して下さい(軽自動車は宮城主管事務所022-284-1368、それ以外は宮城運輸支局050-5540-2011)。手続きの詳細は国土交通省のホームページで確認できます。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000021.html

 

○境界問題

Q23 地震と津波の影響で、隣地との境界が不明になってしまった。境界をはっきりさせるにはどうすればいいの?

A

まずは、隣地所有者と話し合いをしてみましょう。残っているコンクリート杭や金属鋲、法務局に保存されている図面(いわゆる17条地図、旧公図、分筆図、地積図など)の資料が境界を決める話し合いの参考になります。当事者間の話し合いで境界をはっきりさせることができない場合には、簡易裁判所に対して「所有権の範囲を確認する」調停を申し立てたり、さらに調停でまとまらなければ訴訟ということになります。いずれの手続でも土地の現況を正確に把握するために、通常測量が必要となります。測量費用は、通常数十万かかり、その費用負担は、話し合いによって決められますが、通常は、折半か測量を申し入れた方が全額負担する場合が多いようです。
当事者間で、境界を決める話し合いの前提として「筆界特定制度」というものを活用してもよいかも知れません。この制度は、土地家屋調査士などの専門家から選任された調査委員の調査や意見により簡易迅速に「公法上の境界」を特定する手続ですが、この手続で決められた「公法上の境界」を参考にして「私法上の境界」を確認することが期待できるのです。
※境界には、①「公法上の境界」(登記された一筆の土地の範囲を示すもの)と②「私法上の境界」(所有権の範囲を示すもの)とがあります。両者は一致することが多いのですが、概念上は別物です。隣人との話し合いによって決められるのは②の「私法上の境界」です。①の公法上の境界については、私人間で勝手に取り決めることはできず、「境界確定訴訟」を提起して裁判所に境界を確定してもらう必要があります。

 

○支払、借金

 

Q24 リース物件が流されたのだが、それでもリース料は支払わなければならないの?

A

通常特約によって、ユーザー側が規定損害金(=リース料)を支払わなければならないとされているので、ユーザー側がリース料を支払うのが原則です。ただし、リース業者側で保険をかけてリスク分担している場合もありますので、まずはリース業者へ連絡をしてみてください。

 

Q25 中古自動車を買う契約をしたのだが、車の引き渡しを受ける前に、津波で流された。代金を支払わなければならないの?

A

まずは、売買契約書を確認してみてください。契約書において、「引渡し完了前に、不可抗力で滅失した場合には、その損害は、売主の負担とする」というような文言があれば、引渡し前ですから、代金を支払う必要はないでしょう。
そのような文言がない場合には、売主、買主のどちらが自動車滅失のリスクを負担するか、大変難しい問題です。法律の文言をそのまま解釈すると、売買の目的物である中古自動車が滅失しても、買い主は代金を支払わなければならないとも考えられます。しかし、中古自動車の引渡前であれば、実際に中古自動車に支配を及ぼしている売り主にリスクを負わせるべきであるから、買い主は代金を支払う必要は無いとする見解も有力です。いずれにしろ、売主と話合いの上、もしも、話合いがまとまらないようであれば、中立的な第三者を交えて話合いをする簡易裁判所の民事調停や弁護士会の紛争解決支援センター(震災ADR)(Q9をご参照下さい)の活用もご検討下さい。
なお、購入した自動車が新車の場合には、契約の効果に影響を及ぼさないのが通常です。即ち、代金支払義務は存続する一方、新車引渡を請求できます。

 

Q26 住宅ローンが残っている家が津波で流されてしまったが、ローンはどうなるの?

A

残念ながら、現状では、住宅ローンはそのまま残ります。そこで、被災者が住宅を再建する場合、新たな債務を抱えることになります(いわゆる二重ローン問題)。もっとも返済を猶与してもらえる可能性もあるので、住宅金融支援機構や金融機関において、返済を猶予してくれたり、金利を引き下げてくれるかどうかについて、まずは、借入先の住宅金融支援機構(電話0120-086-353)や金融機関に相談してみてください。
平成23年8月22日より、「個人版私的整理ガイドライン」の運用が開始されました。当ガイドラインに基づいて金融機関と合意が成立すれば、信用情報(いわゆるブラックリスト)に記載されることなく既往のローンの一部(場合によっては全部)を免除してもらうことができます。ですから、再建のための新たな借り入れがしやすくなるというメリットがあります。しかし、この制度はまだ立ち上がったばかりで、本制度によって救済される債務者の範囲、救済の方法については、必ずしも定まっているとは言えません。制度の詳細、利用方法等は弁護士ないしは私的整理ガイドラインコールセンターにお問い合わせ下さい。
●私的整理ガイドラインのHP http://www.kgl.or.jp/
●私的整理ガイドラインコールセンター 0120-380-883
※借金が返済できない場合については、まずは借入先に返済猶予の問い合わせをしてみてください。「中小企業等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(中小企業金融円滑化法)」では、「金融機関は、住宅ローンの借り主から返済猶予の申込があった場合には、出来る限り、貸付条件の変更等を行うよう努めるものとする」と規定されておりますので、柔軟に対応してくれる金融機関が多いと思われます。
金融機関の相談窓口 http://www.fsa.go.jp/ordinary/earthquake201103/20110325-1a.html
※収入の見込みがなくて、とても返済が難しいということであれば、債務整理や自己破産を検討してみてください(法テラス宮城050-3383-5538)による弁護士費用援助の制度もあります)。自己破産をしても全ての財産を、債権者への配当の対象として、処分しなければならない訳ではありません。ある程度の財産は「自由財産」として保有可能です。また、破産開始決定後に得た財産については、処分する必要はなく、保有することができます。
※住宅ローンを支払っていた方が亡くなった場合でも、その方が「団体信用生命保険」に加入していた場合には、住宅ローンの支払義務がなくなることがあります。住宅ローンを借りていた公庫や金融機関にお問い合わせ下さい。

 

○相続・相続放棄

 

Q27 震災で身内が亡くなったが、誰が財産を引き継ぐの?

A

まず、亡くなった方(被相続人)が、遺言書を書いていた場合には、原則として、その遺言書の内容に従って、財産が承継されます。もっとも、被相続人の配偶者や子ども、父母については、遺言により、相続財産を取得できない場合であっても、遺留分(いりゅうぶん)という権利を行使することにより、一定の財産を取得できる可能性があります(兄弟姉妹に遺留分はありません)。遺言書がない場合には、民法の規定に従って相続人と相続分が決定されます。
① 配偶者(妻または夫)は常に相続人になります。
② 子どもは、配偶者とともに相続人になります。
③ 父母は子どもがいないときに、相続人になります。
④ 兄弟姉妹は、子どもも、父母もいないときに相続人になります。
相続分は、配偶者と子の場合は1:1、配偶者と父母の場合は2:1、配偶者と兄弟姉妹の場合は3:1です。
※子が複数いる場合には、子の相続分を人数で均等配分します。
例)配偶者がいて子2人の場合  配偶者2分の1、子4分の1、4分の1
①につき、離婚した配偶者や内縁関係の夫や妻には相続されません。
②につき、
ア)被相続人死亡時に胎児であった子どもも生まれてきた場合には相続人になります。
イ)婚姻外で生まれてきた子どもについては、認知されていれば相続人となります(但し相続分は実子の2分の1)。被相続人が亡くなった後で、裁判所に認知を請求する手続もあります。
ウ)被相続人が亡くなったとき、既に被相続人の子どもが亡くなっていて、その子ども(=被相続人の孫)や孫(被相続人のひ孫)がいる場合には、孫が相続人になります(代襲相続)。
③につき、被相続人が亡くなったとき、被相続人の父母はいないが、祖父母がいるときは、祖父母が、相続人となります。
④につき、兄弟姉妹についても、代襲相続があり、甥や姪が相続人になることもあります。
なお、相続人が誰もいない場合には、利害関係人の請求によって、家庭裁判所において相続財産の管理手続が行われ、特別縁故者に対して相続財産の分与がなされる場合があります。

 

Q28 震災前は、夫の両親、私たち夫婦、子ども1人の5人で暮らしていた。震災で、夫と義父(相続財産2000万円)が亡くなったが、どちらが先に亡くなったのか分からない。夫には、結婚して家を出た妹が1人いる。その場合の相続はどうなるの?私の子どもは、義父の財産を相続できるの?義父が、全財産を夫にゆずる旨の遺言書を書いていた場合はどうなるの?

A

死亡の先後が分からない場合、民法で同時に死亡したものと推定されます。そして、同時に死亡したと推定される場合に、同時死亡者相互の間では相続関係は生じません。ですから、義父の財産が、義父の子である夫に相続はされません。もっとも、親子が同時に死亡した場合に、孫がいる場合には、親の財産については、孫が代襲相続することになります。ですから、あなたの場合には、義父の財産については、配偶者である義母と義妹、孫の3人が相続人となり、義母が2分の1の1000万、義妹と夫を代襲した子どもがそれぞれ500万円ずつ相続することになります。
義父が夫に遺言していた場合、同時死亡の推定が働く者同士において、遺言の効力が生じるかが問題となりますが、民法では、遺言の効力は生じないとされています。従って、遺言で、夫に対して「全財産をゆずる」と書いてあったとしても、先の財産の分け方に変化はありません。

 

 

Q29 (先の事例のつづきで)義父は、夫を受取人として、生命保険をかけていたが、私や子どもが保険金を受け取れるの?

A

受け取れるものと思われます。あなたや子どもは、保険金受取人の法定相続人にあたることから「自己固有の権利として」保険金請求権を取得するものと考えられています(ただし、約款によって取得できない場合もあるかも知れませんので、約款をご確認下さい)。
法定相続人が複数存在する場合の保険金の分け方ですが、均等割合とする場合と法定相続割合とする保険会社があり、約款に規定されていますので、約款をご確認下さい。なお、受取人が受け取れるのは、受取人の地位を相続によって受け継いだのではなく、「自己固有の権利として」受け取れるものですので、「相続放棄」をしたとしても、保険金は受けとることができます。

 

Q30 震災で身内がなくなったが、相続財産としてどのようなものがあるか分からない。調査方法はあるの?


A

相続財産としては、不動産(土地、建物)、預貯金、現金、有価証券、動産(自動車、宝石、骨董品他)があります。
多額の相続財産があることが明らかである場合には、相続税申告のため、相続人が税理士に依頼していることが多く、ある程度調査が進んでいるケースが多いものと思われます。
以下は、自ら調査しなければならない場合の調査方法です。
不動産:法務局で登記簿謄本を取得し、名義を確認してみて下さい。
被相続人名義の不動産が一覧になっている名寄帳(土地家屋課税台帳とも呼ばれます)を不動産所在地の市町村役所の資産税課で取り寄せることができる場合もあり、その場合、被相続人の所有不動産が分かります。
預貯金:通帳がある場合には、発行支店において残高証明書の発行・取引履歴の照会を依頼してみて下さい。通帳がない場合には、銀行については、全国銀行協会の「被災者預金口座照会センター(0120-751-557)」に問い合わせてみて下さい。また、生活圏に存在する金融機関を一通りあたってみると預金の存在が分かる可能性があります(その場合、被相続人の生前の状況から貸金庫の契約などをしている可能性があれば、併せて問い合わせてみるとよいでしょう)。
有価証券:自宅内を調査することによって、証券や証券会社からの郵便物から有価証券の存在が見つかる場合もありますが、そうでない場合、通帳の履歴、銀行から取り寄せた取引履歴から、分かる場合もあるでしょう。
被相続人宛の郵便物、預金通帳の履歴を調べることで、被相続人の財産状況についていろいろと分かることがありますので、ご確認下さい。
また、郵便物の中に請求書や催告書がある場合や被相続人の自宅に貸金業者に対する振込明細書や借用証等が発見された場合には、被相続人に借金が残っている可能性があります。その場合は、貸金業者等に対し、いくらの残債務が残っているのかを照会し、プラスの財産と比較して、急ぎ相続放棄の手続をしたほうがよいかを検討して下さい(すぐに相続放棄をするかどうか判断できない場合、「相続放棄の期間の伸長」もご検討ください)。
※生命保険や地震保険に加入していたかの調査については、Q41をご参照下さい。

 

Q31 津波で亡くなった夫が、借金を負っていたが、支払わなければならないの?

A

借金も「相続財産」として、相続人(配偶者、子等)が引き継ぐことになりますが、相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったとき(=原則として、被相続人が亡くなったことを知ったとき)から原則として3か月以内に、家庭裁判所に「相続放棄」の手続をとれば、借金を引き継がずにすむことができます。
ただし、被相続人名義の不動産の登記を自分名義にしたり、被相続人の預金を引き出して使った場合には、相続を承認してしまうことになりますので、相続放棄をすることはできません。もっとも、相続放棄をしますと、プラスの資産についても相続することができなくなるので注意が必要です。
上記のように、民法上、相続放棄の期間は3か月と定められていますが、今回「東日本大震災に伴う相続の承認又は放棄をすべき期間に係る民法の特例に関する法律」(以下「特例法」といいます。)が成立し、平成23年6月21日に公布、施行されました。この特例法は、東日本大震災の被災者であって平成22年12月11日以降に自己のために相続の開始があったことを知った方(相続人)について、相続の承認又は放棄をすべき期間(以下「熟慮期間」といいます。)を平成23年11月30日まで延長するものです。特例法にいう被災者は、東日本大震災が発生した平成23年3月11日において、東日本大震災に際し災害救助法が適用された市区町村の区域から東京都の区域を除いた区域に住所を有していた方をいいます。すなわち、岩手県・宮城県・福島県については全域、青森県・茨城県・栃木県・千葉県・新潟県・長野県の一部地域に居住していた方です。詳しくは法務省のホームページをご覧ください。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00092.html
特例法に関して注意しなければならないのは、特例法が適用されるためには、相続人が東日本大震災の被災者であることが必要だということです。相続人が被災者でなければ、被相続人が被災者であっても、また、相続の対象となる財産が上記の被災地域にあっても、特例法が適用にはなりません。原則どおり、相続人が自己のために相続の開始があることを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に「相続放棄」の手続をとる必要があります。
ただ、震災後の大変な状況の下で、亡くなった方に財産や借金がどれくらいあるのかを3か月では調査することができずに、相続放棄をしたらよいのかを迷うこともあるでしょう。その場合には、急ぎ「相続放棄の期間の伸長」を家庭裁判所に申し立てて下さい。
※裁判所の「相続放棄の期間の伸長」に関するHP

http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_06_25.html

※亡くなった方が、保証人になっていたときには、相続人は、保証債務も相続することになるので注意が必要です。
※震災で両親を亡くした子どもが相続人の場合、未成年後見人が選任されて相続の開始を認識するまでは相続放棄の期間は進行しません。

 

Q32 夫が亡くなってから3か月以上経過してから、債権者から夫宛に借金返済を督促する手紙が来た。私は夫にそのような借金があることは全く知らなかったのだが、もう相続放棄は出来なくなるの?

A

法律上、相続放棄は原則として3か月以内と定められておりますが、亡くなった方に借金があることを知らなかった場合には相続放棄の判断をすることが出来ないわけですから、上記のような事情を相続放棄の手続の際に裁判所に伝えれば、相続放棄を受理してもらえる場合があります。
なお、Q31もご参照ください。

 

 

Q33 夫は、生命保険をかけて私を受取人にしていたが「相続放棄」をしてしまうと、生命保険も受け取れないの?会社から支給される死亡退職金は受け取れるの?

A

受け取れると思われます。生命保険金請求権は、相続財産ではなく、受取人の固有の権利とされていますので、相続放棄をしても受け取ることができます。また、会社から支給される死亡退職金も、社内の規定で受給者が指定されている場合には、その者(妻など)の固有の財産となりますので、受け取れます。

 

Q34 夫が震災で行方不明になって3か月以上経った。もしかすると・・・と思いつつも、今後の生活にも不安がある。夫の財産や生命保険金は受け取れないの?

A

大変お辛いことと思います。行方不明の場合、まだ亡くなったと決まったわけではありませんから、亡くなったことを前提とする相続財産や生命保険金の受領はできないところです。
もっとも、震災により死亡したことが間違いないと思われる場合には、ご家族の方などが市町村役場に申述書を提出することにより、死亡届を受理する運用が実施されることになりました。申述書は、震災発生時の居場所、被災の様子や本人との連絡状況などをチェック式で記載する形式となっております。詳しくは下記ホームページをご覧になるか、役場窓口でお問い合わせください。
死亡届が受理されると、戸籍に死亡と記載され、財産を受け継いだり、生命保険金を受け取ることができるようになります。
なお、申述書を添えた死亡届が必ず受理されるとは限らず、戸籍の担当者が死亡の事実を認定できないと判断したときには、不受理となる場合もあります。その場合には各市役所を管轄する法務局の戸籍課へお問い合わせください。
法務省のホームページ「御遺体が発見されていない場合でも死亡届を提出できます」http://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00026.html
※但し、相続の開始に伴い、夫のあらゆる法律関係を整理・精算する必要が生じますので、死亡届を提出するにあたりましては、親族等関係者と十分にご相談ください。

 

Q35 もしも死亡届が受理されなかった場合はどうすればいいの?

家庭裁判所に対し不服申立をします。家庭裁判所がその不服申立を理由があると認めた場合、家庭裁判所は市町村長に対し、死亡届不受理について是正を命じる審判を行うことにより、死亡届が受理されることになります。
また、地震から1年が経過してもなお生死不明の場合には、家庭裁判所に失踪宣告の申立をすることができます。失踪宣告の裁判が確定すれば、「危難が去ったとき」即ち地震があった3月11日に死亡したものとみなされます。 

 

○子どもへの支援

Q36 震災で両親を亡くした小学生の甥っ子の財産管理や面倒をみていきたいと思っているがどうすればいいの?

A

子どもの財産管理を行うためには「未成年後見人」になる必要があります。親権者である両親が亡くなった場合、本人や親族が、家庭裁判所に申し立てることによって「未成年後見人」が選任され、未成年後見人になりますと、親権者と同様に子どもの財産管理及び身上監護を行っていくことができます。
また養子縁組をして、子どもの「養親」になる方法もあります。この場合、法律上の「親子」として、子どもの姓も変わり、相続も生じます。(15歳未満の子どもを養子にする場合に限り)法定代理人である未成年後見人の承諾、家庭裁判所に許可を得るといった手続が必要になります。
子どもの面倒をみていく方法としては、児童相談所に「親族里親」に登録する方法もあります。親族里親になることで、財産管理をすることは当然にはできませんが(やはり「未成年後見人」か「養親」になる必要があります)、事実上、子どもの身上監護が行える形になります。また、子どもを里子として預かって養育するための費用や教育費が毎月支給されますので、経済的な支えにもなります。詳しくは、児童相談所にお問い合わせ下さい。

 
Q37 震災で親を亡くした子どもに、何か支援はあるの?

A

まず、子どもにも大人と同様の災害弔慰金、生活再建支援金の支援があります。弔慰金、支援金は、「未成年後見人」を選任しなくても子ども本人が受領できます。震災遺児の支援制度としては、必ずしも震災遺児を対象としているものではありませんが、各地方にある児童擁護施設での支援制度や各市町村が独自に行っている遺児支援制度(毎月一定金額の給付や就学助成等)があります。ただし、各市町村によって具体的な支援制度の内容は異なりますので、お住まいの市町村にお問い合わせ下さい。また、「あしなが育英会」からの支給もあります。この震災で親を失った0歳から大学院生は、あしなが育英会に申請をすれば、未就学児50万円、小中学生50万円、高校生80万円、大学・専門学校・大学院生は100万円の「特別一時金」が、あしなが育英会から支給されます(返済不要、申し込み期限平成24年3月10日)。また、高校・大学・専修学校・各種学校・大学院の奨学金制度の特例措置もあります。詳しくは、あしなが育英会(03-3221-0888)にお問い合わせ下さい。

※あしなが育英会のHP http://www.ashinaga.org/news/press/entry-308.html

 

○保険

Q38 車が津波で壊れてしまったが、保険金はでるの?

A

地震・噴火・津波特約がなければでません(ほとんどの方がでません)。

※保険については、保険会社の約款の内容にもよるので、各保険会社にお問い合わせ下さい。

 

Q39 車が滅失した場合、既に支払った保険料はどうなるの?

A

自動車保険解約時に、滅失時以降の保険料が返還されます。

 

Q40 自動車保険を解約した場合、注意すべきことは?

A

自動車保険の解約によって、保険料の支払を免れると同時に、同保険に付帯している他車運転特約や人身傷害補償特約等も失効します。

なお、将来自動車を購入し、再び保険に加入する際には、当然には従前の等級が維持されるわけではありません。従前の等級を継承するためには、「中断証明書」が必要となります。「中断証明書」は、自動車保険解約時に保険会社に交付申請して下さい。

 

Q41 亡くなった父が生命保険(地震保険)をかけていたか分からないが、調べる方法はあるの?

A

生命保険については、「災害地域生保契約照会センター」(0120-001-731)にお問い合わせください。

地震保険については、「損害保険協会照会センター」(0120-501-331)にお問い合わせください。

 

Q42 震災で、自宅や家財が壊れた。建物・家財に地震保険をかけていたが、どれくらい保険金がでるの?修理費や建て替え費用がでるの?

A

地震保険でもらえる保険金の額は、損害の程度と契約金額によって決まりますので、実際の修理費や建て替え費用がもらえるわけではありません。家財についても同様で、実際の代替物の購入費用がもらえるわけではありません。

地震保険の契約額は、火災保険契約額の30~50%の範囲内と制限され、また建物5000万円、家財1000万円が上限となっています(有価証券や価格が30万円を超える貴金属などは補償対象外です)。その範囲内で、損害認定によって受け取れる保険金の額は変わってきます。損害認定は、全損、半損、一部損の3区分で、支払額はそれぞれ契約額の100%、50%、5%となっています。

建物の損害認定は、建物の基礎、柱、壁など主要構造部の損害が建物の時価に占める割合、または消失、流失した部分の床面積の割合で診断されます。なお、損害保険協会によりますと、今回の震災の津波被害の損害認定については、木造建物と鉄骨造建物(共同住宅を除く)については、次の基準で行う予定となっています。

「全損」-かもいや扉の上端(一般的な建物で1.8m)までの浸水を被った場合

「半損」-床上浸水または地盤面45㎝を超える浸水を受けた時

「一部損」-基礎の高さ以上の浸水を受けた時

一方、家財の損害認定は、個々の家財の損傷程度によらず、家財を大きく5つに分類し( ①食器陶器類、②電気器具類、③家具類、④身回品その他、⑤衣類寝具類.)、その中で一般的に所有されていると考えられる品目の損傷状況から家財全体の損害程度を算出して、診断されます。

※今回の震災では、津波により壊滅的な被害を受けた地域を、航空写真・衛星写真を用いて甚大な被害(流失や焼失)のあった街区(市街の一区画、ブロック)を「全損地域」として認定し、当該街区に所在する地震保険契約はすべて「全損」認定することにし、手続を簡略化しました。

※損害保険会社の損害認定について、不服がある場合には、弁護士に相談してみてください。

地震保険についての詳細は、契約している損害保険会社や損害保険協会特別相談室(0120-107-808 携帯・PHSからは 03-3255-1306)へお問い合わせ下さい。

 

Q43 火災保険だけで地震保険に入っていないと何ももらえないの?

A

火災保険だけでは、保険金はもらえませんが、保険(共済)によっては、少額の見舞金がもらえる場合があります。一度、ご加入の保険会社、共済に確認してみて下さい。

 

Q44 震災の影響で、保険料の支払いができない。支払いの猶予はできるの?

A

保険会社に申請をすることにより、支払いの猶予が可能です。猶予期間は、損害保険の場合平成23年9月末日まで、生命保険の場合平成23年12月末日までとなっています。

 

○悪質商法

※困ったなと思ったら、すぐに弁護士や国民生活センター(0120-214-888)にご相談下さい。

 

Q45 自宅に屋根の修理業者が来て、しつこく修理をすすめるので、契約書にサインをしたら、工事代金は相場の倍以上のものだった。契約を取り消すことはできないの?

A

取り消せます。

まず、この場合は、訪問販売ですから、契約条件を明確にした契約書をもらってから8日間は、一方的に無条件で契約を取り消すクーリング・オフができます。契約書が渡されなかった場合や契約条件を明確にしていない契約書を渡された場合には、契約から8日を過ぎてもクーリング・オフができます。また、クーリング・オフ期間が過ぎてしまっていても、業者が嘘をついていたり、契約上重要なことを言わないで契約させたような場合には、消費者契約法による取消、詐欺取消等によって契約の取消しができます。

※悪質リフォーム業者にご注意ください!

震災に便乗した悪質商法が発生しています。特に、住宅の修理に関して、トラブルが多いようです。住宅の修理を業者に依頼する場合には、次のことに注意してください。

① 訪問販売では、できるだけ契約しないようにしましょう。

② 修理工事を依頼するかどうかは、複数の業者から見積をとる等して、慎重に検討しましょう。

③ 業者の説明をうのみにせずに、本当にその業者がいう修繕が必要かどうかを確かめましょう。

④ 業者から、詳細な見積書、改修計画書、工程表を出してもらいましょう。

⑤ 工事が完了しても、工事代金を全額支払うのは、契約どおりの工事がされているかを確認してからにしましょう。

⑥ 困ったなと思ったら、すぐに弁護士や国民生活センター(「震災に関連する悪質商法110番」0120-214-888)にご相談下さい。

 

Q46 携帯電話に「地震速報」というタイトルのメールが届いた。メールを確認すると「詳細情報はこちら」とあったため、そのアドレスをクリックしたところ、出会い系サイトにつながった。そして突然「ご利用料金1万円を支払ってください」という表示が出た。支払わなければいけないの?

A

支払う必要はありませんし、絶対に支払わないでください。一度支払ってしまうと、騙しやすい人だと狙われてしまって、さらに同じような請求がくる可能性もあります。

その他、支援物資や義援金を募ることを装って、物やお金を騙し取ろうとする悪質業者もいます。支援物資や義援金を募る電子メールが届いたとしても、募集している団体等の活動状況や使途についてよく確認し、その指定されている振込先が、確かにその団体の正規の口座であるかも確認しましょう。電子メールで支援物資や義援金を募ってくる場合は、怪しいと疑ってかかった方がよいでしょう。

仙台弁護士会では、「弁護士による震災相談」を行っています。
◎面談相談「震災関係面談相談」(仙台弁護士会、日本司法支援センター)
月~金 受付 午前10時~午後3時まで
場所:仙台市青葉区一番町2-9-18 仙台弁護士会館
お問い合わせ電話番号 022-223-2383
※※※お一人で悩まずに、どうぞお気軽にご相談ください。※※※

 

◎震災よくある相談Q&A (中小企業経営者・個人事業者・農林水産事業者編)
H23.4.15

○中小企業事業者・個人事業者への支援

Q1 今回の震災で、施設や設備が壊れてしまいました。再建したいが、どこか融資してくれるところはないの?

A 融資してもらえます。
① まず、宮城県は4月1日、被災した中小企業が当面の運転資金を確保できるよう、災害復旧対策資金を創設しました。施設や設備が直接被害を受けたケースや、取引先が被災し、前年同月比10%以上の売上減少が見込まれる企業(個人経営も含みます)は、年利1%以内、償却期間10年以内で、最大1000万円を借りられます。法人の保証人は代表者ですが、個人経営の場合には保証人は不要です。平成23年9月9日まで、県内の地銀、信用金庫等で取り扱います。詳細は、県商工経営支援課(022-211-2744)にお問い合わせ下さい。
② また、日本政策金融公庫の災害復旧貸付もあります。中小企業は、限度額1億5000万円、償還期間は10年以内で、当初2年間は、利息のみの返済にもすることができます。また一定の条件下で1000万円まで融資後3年間は基準利率から0.9%引き下げられます。詳細は、日本政策金融公庫(0120-154-505)へお問い合わせ下さい。
③ その他、各金融機関では、被災された事業者の方への、特別融資制度を設けているところも多いようです。まずは、金融機関に相談してみてください。

 

○農林水産事業者への支援

Q2 漁業を営んでいるが、船が流されてしまった。何とか再建したいが、どこか融資をしてくれるところはないの?

A 融資してもらえます。
① まず日本政策金融公庫において「農林漁業施設資金」の融資制度があり、負担する額の80%又は1施設当たり300万円(特別な場合は600万円)、漁船は1000万のいずれか低い額の融資が受けられます。償還期間は15年以内、当初3年間は利息のみの返済にすることができます。また、経営の維持安定に必要な長期運転資金用に「農林漁業セーフティーネット資金」の融資制度があり、600万円まで融資を受けられます。償還期間は10年以内、当初3年間は利息のみの返済にすることができます。詳細は、日本政策金融公庫(0120-154-505)にお問い合わせ下さい。
② それから、商工の災害対策復旧資金貸付制度と同様の制度を、現在(4.15時点)で創設中です(県農林水産支援課金融班022-211-2756)。

 

○雇用維持、労災

Q3 今回の震災で、従業員に給料を払うのが難しい。何とか雇用を維持したいが、行政で何か援助はしてくれないの?

A 上記の融資制度を活用の他、
① 雇用調整助成金の活用を考えてみてください。雇用調整助成金とは、経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用を維持するために、一時的に休業等を実施し、休業にかかる手当等を従業員に支払った場合に、それに相当する額の一部(中小企業で原則8割)を助成する制度です。震災によって、事業所の損壊が事業活動縮小の直接的な理由である場合には、利用できませんが、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復が不可能であり、事業活動が縮小した場合や交通手段の障害によって、原材料の入手や製品の搬出ができずに事業活動が縮小した場合には、利用できます。詳しくは、宮城労働局(022-299-8834)にお問い合わせ下さい。
② 今回の震災による事業所の損壊により事業を休止する場合、特例で、休業中で、離職していなくても、従業員は、失業給付を受給できるようになっておりますので、こちらの活用も検討されてみてください。

 

Q4 今回の震災で、事業所や作業所が倒壊したり、大津波で流失したりして勤務中に被害に遭った従業員に、労災は認定されるの?

A 認定されます。
労災認定には、災害と業務との関連性(業務起因性)が要件とされていますが、厚労省は、今回の震災について、「事業所や作業所が倒壊したり、大津波で流失したりして勤務中に被害に遭った人には、労災認定する」との方針を決めましたので、労災認定されることになります。勤務中には、避難中や救助中、通勤中に津波に巻き込まれた場合も含まれます。
労災認定されれば、従業員が亡くなられた場合には、遺族に遺族年金や一時金、葬祭料が、けがの場合には、治療費や休業補償が支払われるといった補償が手厚いので、従業員が被害に遭われた場合には、積極的に活用を促してください。

 

 

 

◎よくある震災相談Q&A(自動車編-自動車が津波で流されたら・・・)
H23.4.15

 

○保険-詳しくは損保会社へお問い合わせください。

 

Q1 車が津波で壊れてしまったが、保険はでるの?

A 地震・噴火・津波特約がなければでません(ほとんどの方がでません)。
※保険については、保険会社の約款の内容にもよるので、各保険会社にお問い合わせ下さい。

 

Q2 保険料について支払を止められるの?

A 解約手続きをして支払を止められます。
一括払いをしている場合には、残っている期間に応じて返金してもらえる可能性があります(ただし、自動車保険の解約によって、保険料の支払いを免れると同時に、保険に付帯している他者運転特約や人身傷害補償特約等も失効しますので、ご注意ください。)。

 

Q3 等級は維持できるの?

A 「中断証明書」を保険会社からもらっておけば、等級が維持できます。

 

 

○保管責任

Q4 修理のために預けていた車が津波で流されたが、何か賠償してもらえるの?店舗の駐車場やコインパーキングに駐車していた車が流された場合はどうなの?

A 今回の震災では、おおむね「不可抗力」として、保管責任を問題にして、賠償を求めることは困難と思われます。もっとも、保管者の側で、一定の補償をしてくれる可能性もありますので、まずは話し合いをされてみてください。

 

 

○撤去-詳しくは市町村にお問い合わせ下さい

Q5 自分の自動車が道路に放置してある。自費で撤去しなければならないの?

A 市町村が、市町村の負担で撤去してくれることになりそうです(宮城県では、市町村が対応困難な場合には宮城県が対応する方針です)。
もちろん、自費で撤去しても構いません。

 

Q6 他人の自動車が、自宅の敷地に放置してある。どうすればいいの?勝手に処分していいの?

A これから市町村が市町村の負担で撤去してくれる予定ですので、市町村に連絡の上、もうしばらく待った方がよいかと思います。勝手に処分すると、持ち主から「所有権侵害」を主張されるおそれがありますので、処分せずに保管しておいてください。
自動車の持ち主が分かるのであれば、持ち主に連絡して、撤去を求めたり、処分の了承を得て処分することもできます。

 

 

○自動車税

Q7 津波で流された自動車の自動車税も払わなければならないの?

A 一定の手続きをすれば、支払をしなくてすみます(平成23年度分から)
1)課税停止の申請をする
① 自動車税(問い合わせ先-県税事務所)
宮城県では、自動車税の納税通知書の発送を、今年度は、「8月以降」を予定
していますが、納税通知書に同封する自動車税課税停止申請用のハガキに必要事項を記入の上、県税事務所へ返信すれば、自動車が使用可能になるまで、自動車税の支払いは不要となります(使用不能ならばそのまま支払不要です)。
※宮城県の下記HPにアクセスして、パソコンや携帯から簡単に課税停止申請をすることもできます。http://www.pref.miyagi.jp/zeimu/oshirase/saigai-jidousha.htm
② 軽自動車税(問い合わせ先は市町村)
自動車税と同様に、一定の手続(書類の提出)をすれば、支払しなくてすみます。
2)廃車手続をする(次のQ&Aをご参照ください)
問い合わせ先
自動車  東北運輸局宮城運輸支局(050-5540-2011)
軽自動車 宮城県軽自動車協会(022-232-5724)

 

 

○廃車手続(抹消登録手続)
※廃車手続には、原則として、車検証、ナンバープレート、印鑑登録証明書、実印の押印が必要。

Q8 津波で流された自動車の廃車手続をしたいが、車検証も、ナンバープレートも、実印も流されてしまったが、それでも廃車手続ができるの?

A 大丈夫です。震災特例措置によって廃車手続ができます。
① 車検証やナンバープレートがないが・・・
→登録番号の一部や車種などにより自動車が特定できれば、OKです。
② 住所のある市町村役場が、印鑑登録証明書を交付できない状況だが・・・
→免許証等、所有者本人を確認できる書面の提示・署名をもって、印鑑登録証明書の提示のかわりになります。
③ 実印も津波に流されてしまった・・・
→署名でOKです。
④ 自動車が津波に流されてどこへ行ったか分からないが・・・
→被災した旨の、申請者の申立書があれば、自動車滅失についての公的な証明書は不要です。

 

Q9 自動車をローンで購入して、自動車の所有者は、信販会社になっているが、廃車にできるの?

A 所有者の信販会社の同意なしに廃車はできません。信販会社に廃車にしてよいかどうか確認してみてください。なお、自動車税の課税停止は、廃車しなくてもできます。

 

 

○自動車新規登録、移転登録手続

Q10 新しく自動車を購入したいが、住所のある市町村役場が、印鑑登録証明書を交付できない状況だし、実印も津波で流されてしまった。自動車を購入できるの?

A 大丈夫です。購入できます。
免許証等、所有者本人を確認できる書面の提示をもって、印鑑登録証明書の提示のかわりになります。また、実印がどこへいったかわからなくても、署名でOKです。

 

Q11 津波で家が流されて、避難所で生活しているが、車庫証明がとれるの?

A 大丈夫です。車庫証明をとることは可能です。
新規登録、移転登録手続においては、車庫証明の提出が必要ですが、避難所など生活の拠点が定まらない被災者からの車庫証明申請で、使用の本拠の位置・保管場所の位置が特定できない場合は、従来の住居地等を使用の本拠の位置とする旨の特例措置がとられています。詳しくは警察署にお問い合わせください。

 

仙台弁護士会では、「弁護士による震災相談」を行っています。

◎面談相談
平日 受付 午前10時から午後3時まで
場  所:仙台市青葉区一番町2-9-18 仙台弁護士会館
お問い合わせ電話番号  022-223-2383

※※※お一人で悩まずに、どうぞお気軽にご相談ください。※※※