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平成20年11月20日会長声明

2008年11月20日

死刑執行に関する会長声明

 2008(平成20)年10月28日、仙台拘置支所で1名、福岡拘置所で1名、計2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 当会は、本年9月26日、法務大臣に対して、死刑制度の存廃につき広く国民的な議論を尽くし、かつ死刑制度に関する改善を行う必要があると考え、それまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう強く要請したばかりであった。

 にもかかわらず、今回2名の死刑執行が行われたものであり、当会はかような事態に対して、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議するものである。

 これまでも繰り返し述べてきたことであるが、国際社会において死刑廃止が潮流となっていることは明らかであり、拷問等禁止条約に加入している我が国に対しては、2007年5月18日に行われた拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告をはじめ、本年5月の国連人権理事会第2回普遍的定期的審査においても多数の国から、我が国の度重なる死刑執行に対する懸念が表明され、死刑執行の停止が勧告された。

 また、本年10月30日、国際人権(自由権)規約委員会は、「国民世論の多数は、極めて凶悪な犯罪には死刑もやむを得ないと考えている」とする日本政府報告書に対して、世論調査の結果にかかわらず、死刑廃止を前向きに検討し、必要に応じて国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきであるとする勧告を行った。さらに、同委員会の審査では、特に死刑判決に対する上訴が義務的とされていない日本の現状に対する深刻な懸念が示されていたところ、今回死刑が執行された死刑確定者のうち、1名は、控訴審において第1審の無期懲役を破棄して死刑が宣告され、その後上告の取り下げにより死刑が確定した事案であり、まさに上記懸念が現実化したものである。

 こうした一連の勧告や批判は、国際社会から我が国に突きつけられた共通の意思の表明にほかならない。政府は、我が国が加入した条約を尊重し、国際社会の要請を真摯に受けとめ、今こそ、こうした国際社会の要請や死刑制度の運用と実態について国民に十分知らしめ、開かれた議論を直ちに行うべきである。

 今回の死刑執行は、こうした議論を一切行うことなく、国際社会の要請を無視してあえて死刑執行に踏み切ったものであり、甚だ遺憾である。

 当会は、政府に対し、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう重ねて強く要請するものである。

 

 2008年(平成20年)11月20日

 

 仙台弁護士会          

 会 長   荒     中 

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